あたまのなか研究室

ピクルス(2代目)とぶらいあん(初代)の研究室です。

まだ読んでいない『ロバート・アルドリッチ大全』

 『ロバート・アルドリッチ大全』(1995,アラン・シルヴァー、ジェイムズ・ウルシーニ著/宮本高晴訳/国書刊行会)が届きました。
 原題は"What Ever Happened to Robert Aldrich?:His Life and His Films"(何がロバート・アルドリッチに起こったか?:人と作品)。
 もちろんあの作品のもじりであります。("What Ever Happened to Baby Jane?")

 当初予価3200円だった本書がいろいろ盛り込んだために4200円(税抜)になってしまったらしいですが、ハードカバー570頁は手に持つとずしりとした感触で迫力がありなかなかのもの。これは電子書籍が逆立ちしてもかなわない「好きな本を所有する喜び」を感じる一冊です。

 さて中身の方は、原書の翻訳に加え、日本版には(1)山田宏一氏による序文(2)「アルドリッチ家名鑑」(3)全作品の解説およびアルドリッチ本人によるインタビュー発言が追加されています。
 特にこの(3)が労作で、アルドリッチ本人の発言は(おそらく主に原書の)各資料文献からの抜粋を翻訳してそれぞれの作品に付記したものと思われます。また解説は桑野仁氏が書かれています。

 翻訳された類書がほとんどないこともあり、資料性が非常に高く、また作品分析やインタビュー、評伝も充実しており、現時点でのアルドリッチ研究の決定版と言えるのではないかと思います。(まだパラパラとしか読んでおりませんが・・)

 また、この度の『カリフォルニア・ドールズ』『合衆国最後の日』のリバイバルロードショーにあわせて『ロバート・オルドリッチ読本1』(遠山純生編著/発売元:株式会社boid)が刊行されています。こちらは映画のパンフレットに代わるもののようですが、150頁とボリュームがあり別冊ムック本くらいの価値がありそうです。『大全』に行く前に『読本』を読んで軽くならしておくのがいいかもしれません。(今後『2』以降が出るのかどうかはよくわかりませんが、出るといいですね)

 なお、販売は上映劇場を除くと発売元のネット通販のみ(定価1260円)のようです。ただし劇場ではなぜか一律千円で販売しているようで、ネット送料などを考えると劇場で購入する方が大変おトクです。(ちなみに大阪の第七藝術劇場ではまだロードショー前ですが販売していました)

 アルドリッチかオルドリッチかはともかくとして、ファン必携の本が刊行され、対人関係に悩まされることがますます増えている昨今においては、これからアルドリッチ人気はさらに高まっていくことでしょう。

 ところで『大全』の方ですが、先月刊行されたばかりだというのに、現在アマゾンでは(1/7現在)品切れ入荷未定状態。この手の本はなかなか重版がかからないので、見つけたときに買っておくのがベストですね。

 (2013年1月7日)



ロバート・アルドリッチ大全