人はなぜ「何もしないこと」に耐えられないのか
現代人がいまもっとも恐れていることは「(例えば、大きな仕事をして疲れた、とか、これから忙しくなるので、といった理由が一切ない状況において)なんにもしないこと」そして「自分がなんにもしていないことを他人に知られること」です。仕事にしろ遊びにしろ、人は常に忙しく振る舞うのに懸命です。
現代人はどうして「何かをしていないことに耐え難い」のか。ある人々はニュースが好きだから読んだりするのではない。何もしないことに耐えられないから。ネットが好きだからアクセスするのではない。「自分の空っぽさ加減が耐え難い」から、好きでもないネットニュースを見て、バッシングするのです。
現代人はなぜイライラしているのか。ネットや世界にはなぜイデオロギーとは無関係に怨念に満ちているのか。それは「自分が空っぽであることに耐えられない」から。だから他人を激しく攻撃するか自分を過剰に責めることでしか自分を保てない。これは現代人が「自分に対する期待値が高すぎる」からです。
ネットでは情報が氾濫し「(偏差値や数値化されたある基準において)自分が世界でどのくらいの位置にいるか」がわかった、ような気持ちになること。親の有形無形の過大な期待。アドレス帳には3桁の「友人」がいても心許せる人間は一人もいない状況。それが期待値と自意識の肥大化をもたらしています。
結局、人間なんてたいしたもんじゃないし、自分なんてそんなにたいしたものでもない。若者なんて空っぽに決まっている。だから何もしないでいい、ということではなくて、四六時中緊張を高めて他人をにらみつける、もしくは自分を責め続けるなんて、してもいいけど一日3分とかにしよう。身体に悪いよ。
(2014年7月19日、Twitterにて発表)