あたまのなか研究室

ピクルス(2代目)とぶらいあん(初代)の研究室です。

夏八木勲さんと京都映画祭

 夏八木勲さんを初めて(であり最後でもありますが)拝見したのが昨秋の京都映画祭でした。

 しかし、トークゲストで登場された際、出てくるのに少し時間を要したこと、トークは他のお二方(山根貞男氏、中島貞夫監督)にほとんどまかせてほとんど最初と最後しか口を開かなかったこと、痩せて声にも力がなかったこと等から「体調がかなり良くないのでは」とずっとひっかかっていて、今回の訃報に接したので「ああ・・」という言葉しか出ませんでした。

 京都映画祭でそのとき上映された『あゝ同期の桜』(中島貞夫監督/1967/東映)はデビュー間もない時期の作品ということありますが、それ以上にかなり思い入れがあったようで、実際のところ特攻部隊を描いた話であることから「特攻賛美では」と思われがちですが、実は反戦映画である、ということを強調されていました。

 おそらく相当に体調がよくない(少し歩くのがやっとという)状態でありながら、それでもあえて京都まで来て、少しだけでもこの映画について自分の口で語りたいという強い思いがあったのだろうと想像します。(そのときも感じましたが、亡くなられた今となってはそのとき以上にそう思っています)

 実際に映画を観ましたが、これは特攻、ひいては戦争の不毛さを描いた秀作でした。機会があれば、ぜひ実際に作品を観てそれを確認して頂きたいと思います。

 あの「あっ」と言わせるラスト!について書きたい・・と思ったのですが、これから観る方のためにそれはやめておきます。このラストは東映側に替えるよう言われたものを監督が押し切ったとのことです。

 夏八木勲さんのご冥福をお祈り致します。

 (2013年5月12日)

「京都映画祭のトークショーの印象」
http://d.hatena.ne.jp/communicationbrakedown/20121008/1349710853


あゝ同期の桜 [DVD]