あたまのなか研究室

ピクルス(2代目)とぶらいあん(初代)の研究室です。

「スクリーンが小さい!」

 映画館とか、Twitterとかで、ときどき「(この劇場の)スクリーンちっちゃ!!」という若い人の言葉を聞くことがあります。
 言われるのはたいていはミニシアターです。
 おそらく彼らはふだんシネコンしか行ったことがなくて、初めてミニシアターに入ったとき、思わずそう言ってしまうのでしょう。

 「シネコン=スクリーンがデカい、ミニシアター=スクリーンがちっちゃい」

 そう思っている人は結構おられるように思います。
 シネコンしか行ったことのない人、ミニシアターしか行かない人、にはその傾向があるのかもしれません。

 しかし実際のところの状況はちょっと違います。

 シネコンは、だいたい8〜12スクリーンくらいありますが、だいたい半分くらいのスクリーンは、100席前後のミニシアターと同じ規模です。
 そして、4から500席以上のスクリーンというのはだいたい3スクリーンくらいです。

 だから「シネコン=大きなスクリーン」というのは正しくありません。

 よくシネコンで映画を観る人はそれがわかっているはずです。
 では、どういう人が間違った思い込みをするのでしょうか。

 それは大きなスクリーンでしか映画を観ない人は、つまり「滅多に映画館に行かず、行くのはTV等で宣伝している話題の映画の1週目」であるということです。それなら大きなスクリーンでしか映画を観ない、ということがあり得ます。

 あと正確に言うと、座席数が少ないからスクリーンも小さい、という訳でもありません。
 例えば大阪のシネ・ヌーヴォは、69席ですが天井が高く、画面もミニシアターとしては大きい方です。
 また、神戸の元町映画館は、高さはあまりありませんが、横に長くとられているので、シネスコ画面では大きく観ることができます。

 本当にスクリーンがちっちゃい、というのは、例えば、神戸映画資料館のスクリーンのことを言います!!
 でも小さくたって、貴重な映画がフィルムで観る事ができるから映画ファンは行くのです。

 そもそも「小さい!」と言うのなら、前の方の座席に座ればいいのです。
 作家の鏡明さんは、大劇場でも必ず一番前の真ん中の席に座って観る、と言います。
 そういう人にとっては、小さいスクリーンの場合、一番前でも物足りないでしょう。

 でも、ふだん大きなスクリーンの劇場で、真ん中から後ろの方に座っている人が「小さい!」と言うのはおかしい。
 ミニシアターの画面が小さいと思うなら一番前の方に座ればいいのです。
 大きい画面を楽しむ、というのはそういうことだと思います。

 だからあんまりミニシアターのスクリーンのことを「小さい小さい」って言わないで下さいね。
 そんなのみんなわかってるんだから。

 (2012年9月9日)