あたまのなか研究室

ピクルス(2代目)とぶらいあん(初代)の研究室です。

『命てなんぼなん?』初日舞台挨拶・監督トークの内容

 2月15日(土)にシネ・ヌーヴォXで初日を迎えた『命てなんぼなん?』、上映前に1時間に渡って監督によるトーク(というかほとんど独演会)が行われました。私は(他の上映作の都合上)その日に本作を観ていないのですが、ヌーヴォさんの厚意で客席で拝聴させて頂きました。別に特別待遇でも何でもなく「賑やかし」ということだと思いますが、それにしても、あの原監督の新作上映の観客がこれほどとは驚きました。ドキュメンタリーファン、映画ファンが全国から押し寄せてきて当然だと思うのですが・・。ドキュメンタリー離れの実情は洋画のそれには比べ物にならないくらいのもののようです。

 話が逸れましたが、以下は、そのときのトーク内容を翌16日にツイートしたもののまとめです。ほとんど要点のみという感じですが、ご参考までに。

 下記でも書いていますが、2月22日(土)23日(日)は、前代未聞の公開撮影がありますので、この作品に興味のある方はぜひ観に来て下さいね。



 シネ・ヌーヴォ『命てなんぼなん?』原一男監督トーク泉南アスベスト問題に6年かけてるが終らないのは深刻な患者さんほど撮影させて貰えないから。これは9年かけている水俣病問題も同じ。また社会運動が宿命的に抱える内部対立もあるが60年来の水俣病の方が深刻で重苦しい。

 (原一男監督トーク2)水俣病に比べると、運動としての歴史が浅い泉南アスベストはまだましで、ホッとするところがある。弁護団の人は皆やたらいい人だが、やはり対立はあるし、撮影は進まない。今回の上映は途中経過版だが、来年度には2時間の完成版を公開したいと思っている。

 (原一男監督トーク3)今回話をするのに気が重く愚痴っぽいのは、前述の二つの件が大きいが、あと自分が20代の頃撮りたくなかった「生活者(自分の家族のことだけ主義の人)」を今自分が撮っていることについて、自分としてはうまく説明することができないからというのもある。

 (原一男監督トーク4)かつてはぶっ飛んだ人、奥崎兼三さんや井上光晴さんのような人を撮ろうと思ってずっと探していたが、奥崎さんのような人はもういない。それは昭和がそんな人を許容する余地のある社会であったからで、今の世の中は生きづらいし、皆がそう感じていると思う。

 (原一男監督トーク5)今は撮っていて元気のなくなる作品なので、新作を撮りたい。田原総一朗さんの死に際を撮りたいと言ったら本人が快諾したが、田原さん本人そのものは面白い人ではないので題材としては難しいことに後になって気づいた。自分は結構安易に受けてしまう人間だ。

 原監督トーク記述が長くなってしまいすみません。記憶をもとに書いているので語句や話の順序は正確ではありませんが、だいたいこんな感じで話されていたと思って下さい。なお来週末のヌーヴォは上映後のゲストで前代未聞の弁護士対決トーク&それを映画用に撮影!なので必見です。

 (2014年2月20日)