あたまのなか研究室

ピクルス(2代目)とぶらいあん(初代)の研究室です。

あるいは如何にして私は心配するのを止めてこのようなキャンペーンをするようになったか

 どうも、ピクルスです。いつも(または初めて)ご覧頂きありがとうございます。

 なかにはご存知の方もおられるかと思いますが、いまTwitterの方で、シネ・ヌーヴォ黒澤明映画祭(10/25〜12/19)に連動した以下のようなキャンペーンを個人的に行っています。
(※12/19をもって終了しました)

 「初めてのヌーヴォ体験キャンペーンin黒澤祭」
 (http://d.hatena.ne.jp/communicationbrakedown/20141114/1415978465

 「(映画女子のための)初めてのミフネ!安心保証キャンペーンin黒澤祭」
 (http://d.hatena.ne.jp/communicationbrakedown/20141115/1415979133


 基本的には「初めてヌーヴォで映画を観る方、初めて三船敏郎主演映画を観る方に招待券を進呈」というものですが、申込者や問い合わせが非常に少ない状態です。

 これはおそらく「劇場に関係ない人間がタダで招待券をくれるなんて・・。何か裏にあるんじゃないか?危ないんじゃないか?」と警戒されている方が多いからではないか、と推測しています。

 まあそれが当然ですよね。こんなご時世だもの。「うまい話には気をつけろ」「人をみたら泥棒と思え」確かに全くその通りです。

 しかしながら、私がこれらのキャンペーンを行うには「ミニシアター、特にシネ・ヌーヴォを応援する」というのが背景にあるにしても、それとは少し異なる直接的な切っ掛けがありました。訝しがられる人が少しでも減るならばと思い、今回はその理由について説明しようと思います。

 私は映画好きであり映画館好きでありますが、まだまだ経験が浅く、人に誇れるようなほど映画を観ている訳ではありません。
 しかし逆に言えば、旧作映画に関しては、どれもこれも観たことがない映画ばかりです。だから「何を観ても面白い」状態が続いていることを本当に幸せなことだと思っています。(旧作映画についてはめぼしいものはほとんど観てしまった映画マニアにはもう味わうことのできないことでしょう)

 私は新作映画も観ますが、どちらかと言えば旧作映画を観ることが多いです。その理由のひとつはシネ・ヌーヴォという「年間数百本の旧作映画を上映するミニシアター」(他にもインディペンデント映画の上映も積極的に行っています)があるからです。

 関西のほとんどのミニシアターには機会があれば訪れますが、私が回数・本数ともにもっともお世話になっているのは現状ではシネ・ヌーヴォ(以下、ヌーヴォ)であることは間違いないでしょう。

 よく通っているので会員スタンプがたまりますよね。10個スタンプがたまると招待券が1枚貰えます。火曜日はダブルポイントだし、会員更新しても招待券は貰えます。だから以前は特に意識なく招待券を使っていました。

 ところがあるとき、ちょっと気になったことがありました。

 「招待券で観た映画って、どういう扱いになるんだろう?お金を払っている訳じゃないから、観客動員数にはカウントされないのでは?」

 という疑問です。

 その疑問をふとした機会にヌーヴォの方に訊いてみたところ、その通りだということでした。

 特集上映は芳しくない場合がありますが、それ以上にインディペンデント映画のロードショーに行くと、初日はともかく、平日の夜になると、よほど話題になっていない限り、観客は両手にあまる程度、片手以下ということも珍しくありません。

 そういうときに招待券を使うことはどういうことかと言うと「例えば、5人観客が入っているのに、動員数は4人にしかならない」ということです。劇場から配給会社には「動員数は4人」で報告されます。

 つまり私が招待券を使うことによって「ある映画のある劇場のある日の観客動員が20%減る」ということになるのです。

 これに気がついたとき、私は何だか招待券を使うのが恐くなってしまいました。
 もちろん私一人の動員記録が全体に及ぼす影響などたかが知れているでしょう。
 しかし、現在のミニシアターの興行成績が厳しいなかにあって、ただえさえ少ない数がさらに少なくなるということです。
 そもそも「せっかく観に行っているのに、観客である自分のそれが動員記録として残らない」ということに忸怩たる思いを感じるようにもなりました。

 その結果、私はあるときからヌーヴォの招待券を使うことができなくなってしまったのです。

 そして溜まっていく招待券を見ながら、これはどうしたもんだろう・・使わないのももったいないし・・。誰かにあげるにしても枚数も少なくないし・・。
 と、いろいろ考えた結果「これを、初めてヌーヴォに行く人にプレゼントするのがいいのでは」と気がつきました。
 「まず1回行ってみて、ヌーヴォの魅力を知って、その内の何人かがリピーターになって貰えたら、その人もヌーヴォも(そして私も)幸せな気分になれる」のです!

 そして、夏に「初めてのヌーヴォ体験キャンペーン」を実施しました。そこでは3組限定でしたが結果として応募は2名、しかもその2名は友達だったので、実質1組でした。
 今回の「初めてのヌーヴォ体験キャンペーンin黒澤祭」も応募は1名(※11月22日時点)にとどまっています。もうひとつのキャンペーンは応募0です。問い合わせはありません。

 今回は、私の「抵抗感」(あるいは「ヌーヴォ招待券フォビア」)により余ってしまった招待券を有効に使って頂きたい、というところから始まったものです。

 この状況を理解して下さり、また、条件にあてはまる方(もしくはそういう方をご存知な方)は、ぜひキャンペーンにお問い合わせ・ご応募下さいませ。よろしくお願い致します。

 「初めてのヌーヴォ体験キャンペーンin黒澤祭」
 (http://d.hatena.ne.jp/communicationbrakedown/20141114/1415978465

 「(映画女子のための)初めてのミフネ!安心保証キャンペーンin黒澤祭」
 (http://d.hatena.ne.jp/communicationbrakedown/20141115/1415979133

 今回の記事に対する質問、感想などがありましたら、よろしくお願い致します。


 (2014年11月22日) 

 <追記> 2014年11月24日

 とても大事なことを書き忘れていました。
 最初(夏)にこういうキャンペーンを始めた動機というのは上に書いた通りなのですが、赤字続きのヌーヴォを何とかしたいと思っていたのもあります。
 さらに「社運をかけた黒澤明映画祭」(※)の結果如何によっては、ヌーヴォが大きく傾く可能性があることが更に動機に拍車をかけた、ということは特に記しておく必要があるでしょう。


 ※ 以下、参考までに。Twitterより再掲載。(2014年10月24日、10月26日)

 いよいよ明日になってしまいました。黒澤明映画祭。これはシネ・ヌーヴォにとって大きな分岐点になるでしょう。良くなるか悪くなるかもう祈るしかありません。もしこれが思うようにいかなくてヌーヴォが傾き最悪閉館になったら、なんて考えただけで恐ろしい。これは関西の映画好きなら同じ思いのはず。

 日本でも有数の(東京以外では恐らく唯一の)年間数百本という上映本数を誇るヌーヴォがなくなったら、大阪を中心に大量の旧作映画難民が生まれることでしょう。関西の映画(館)文化の地盤沈下を避けることは無理です。そんな暗黒時代になってしまうなんて・・一人の映画好きとして堪え難いことです。

 黒澤映画祭の「社運をかけて」という表現は誇張ではないでしょう。ヌーヴォは大きくないものの赤字ですし、黒澤映画の上映権は異常に高いようなので、採算ハードルが相当高いと推測されるからです。数字は適当ですが通常「採算ラインが30%の入り」だとすると今回は「80%」かも、ということです。

 たとえ話を続けると、いくら土日で満席になったとしても平日が50%だったら全体の平均としては80%には届きません。平日の夜の回が盛況でも昼間が低調であれば採算には届かないでしょう。今回は熱心な映画好き以外の観客、特に女性や若者がどこまでくるのかかが勝負なのでは・・と思ったりします。