あたまのなか研究室

ピクルス(2代目)とぶらいあん(初代)の研究室です。

京都映画祭のトークショーの印象

 本日で第8回京都映画祭も終了しましたが、印象的だったトークショーについて少し書いておくことにします。

 梶芽衣子さんは、74年に『無宿』で京都市民映画祭で女優賞を受賞して以来の京都に呼ばれた映画祭ということでした。
 (勝新太郎高倉健主演の『無宿』(やどなし)で、梶さんは主演女優賞を受賞、勝はTV版座頭市で受賞しており、映画主演賞を取れなかったことで梶さんは責められたとのこと)
 ホスト役がなぜか山根貞男さんでも中島貞夫監督でもなかったせいか、梶さんがどんどん話を進めていき、途中で「私歌手もやっているので2、3曲歌わせて頂きたいと思います」と進行してホストが慌てていました。(歌うことは事前に告知されていましたので段取りの問題)
 「恨み節」など3曲を歌いましたが、今でもかつてのような凄みが感じられる歌い方でちょっと驚きました。
 今回上映されたのは『ジーンズブルース 明日なき無頼派』『仁義なき戦い 広島死闘篇』の2本ですが、もっと上映されたような印象があるのは存在感が強いからでしょう。『ジーンズブルース』は『ボニーとクライド』にかなり影響を受けたそうです。

 夏八木勲さんは、今回『あ々同期の桜』の上映の後にトークショーに登場されましたが、ホストが山根さんと中島監督のおふたりで、夏八木さんは冒頭と最後のしめをのぞき、ほとんどお話をされませんでした。痩せておられて声も力なかったので、あまり体調がよくなかったようです。一時的なものだといいのですが。今回の映画祭で上映された作品は『あ々同期の桜』のみですが、この作品は、中島監督の「特攻を美化しない」という強い思いで描かれた秀作でした。

 最後に藤純子こと富司純子さん。今回のメインゲストです。ホストの中島監督が「藤さん」「純子ちゃん」と呼ばれていたので、ここでも藤純子という表記でいきます。(恥ずかしながら、現在の芸名が「フジ・スミコ」と読むのだということを今回初めて知りました)
 この映画祭で、作品は7本上映されましたが、緋牡丹博徒シリーズのスピンオフ作品である若山富三郎主演『シルクハットの大親分』(終盤お竜役でゲスト出演)をのぞくと「お竜さん」以前の作品で、様々な役柄、特にキュートな表情の藤純子を堪能することができました。(鶴田浩二高倉健らで「藤純子を守る会」を作っていた頃の話)
 緋牡丹博徒シリーズが当たるまでの5年間は色んな役をやらせてもらった、という藤さんは東映京都にかなり思い入れがあるようで、涙を拭っていた場面が印象的でした。
 ご尊顔を直接拝見したのは初めてですが、とても綺麗で知的な人だなという印象を受けました。
 それにしてもお竜さん人気は根強いようで、映画で登場する場面になると、かけ声や拍手が起こったりした『シルクハット大親分』の上映が一番盛り上がっていたと思います。

 京都映画祭は、一言でいうと、まったく気取った感じがしない、庶民のための映画祭でした。
 機会があれば、またぜひ足を運んでみようと思います。


 (2012年10月8日)