あたまのなか研究室

ピクルス(2代目)とぶらいあん(初代)の研究室です。

ブルーレイという新たなる危機

 ブルーレイの普及があまり進んでいない。
 低価格なハリウッド映画の一部をのぞくと日本で売れているのはアニメばかりである。
 このままだとどうなるか、を少し考えてみた。

 ブルーレイはなぜ売れないか?
 明らかにDVDより画質がよく、地デジ化が完了した現在においては「次世代画質」ではなく「現世代画質」になっているはずなのにも関わらず、売れないのはなぜか。

 それは、一般の視聴者にとってはDVDもブルーレイも同じに見えるからである。
 長らく続いたビデオテープの時代、テープからDVDというデジタル化には目に見える変化があった。
 「サイズがCD並みに小さい」「デジタルなのでサーチがラク」「巻き戻す必要がない」「(ビデオ)テープより画質がいい」「画質が劣化しない(はず)」等々。
 色んな面において革新的な違いがあった。

 しかしDVDとブルーレイの違いは「画質向上」だけだった。
 (他にも「容量が多い」というのもあるがセルの場合「やたら長い特典映像」以外あまり関係がない。しかもこの「長すぎる特典映像」がかえって食傷感を与えてしまった可能性もある)

 マニアなら「画質のいい方がいいに決まってる!」と思うだろうが、一般視聴者はそうではない。多少画質がよくなくても値段が安い方がいいという人も多い。そもそもDVDの画質が悪いと思っていない。何しろあの粗悪な画質のVHSに長年慣れ親しんできたのだ。(ここは結構重要なポイントである)

 思いおこせば、VHSより明らかに画質がよかった「S-VHS」はまったく普及しなかった。
 DVDとブルーレイの関係はVHSとS-VHSの関係に似てはいないか。

 また音楽の場合であれば、82年に登場したCD。百年あまりに渡って定着していたレコードをあっと言う間に追い抜いたCDというメディアはデジタル化という意味で革新的であった。そして99年に登場した高音質規格SACD。競合のDVD-Audioには勝利したものの、これもクラシックとごく一部の名盤を除いてタイトル化は進まず、現在でも普及にはほど遠い状況である。
 これもレコードからCDへの変化が革新的であったのに比べて、CDからSACDへの変化が「音質向上」のみであったことが一般リスナーにアピールしなかったからである。

 レコードからCD、CDからSACD
 VHSからDVD、DVDからブルーレイ。
 あるいはVHSからS-VHS。

 これをみるに、ブルーレイが今後大々的に普及することは非常に厳しいと思われる。

 そして次には通称「4K」という規格も控えている。(一部テレビやプロジェクターでは発売もしている)

 果たして単純な解像度の精細化だけでユーザーはついてくるだろうか?
 そもそもその根底には「規格がコロコロ変わることにうんざりしている」のが一般的な大衆の感覚ではないだろうか。

 「新しく揃えても、その頃にはまた規格が変わってるんでしょ?だったらまた大きく変わるときでいいや」

 そんなサイレントマジョリティの声が聞こえてきそうな気がする。

 (2012年9月20日)