あたまのなか研究室

ピクルス(2代目)とぶらいあん(初代)の研究室です。

愛が冷えゆくとき〜ビートルズの場合〜

 ビートルズと言えば、「LOVE」を歌ったバンド、という印象がありますよね。
 そこで、The Beatles の曲名における Love の登場回数を調べてみました。
 (企画協力:ETSUKOtgさん)

 ややこしくなるので、対象はUKオリジナルのみとしています。
 (解散するまでのシングル、アルバム、EP)

 まずは、シングル篇。

LOVE in the Beatles (Singles) UK

発表年、リリース枚数、LOVE曲数/対象全曲数
1961 01 0/02
1962 01 2/02 Love Me Do / P.S.I Love You
1963 04 1/08 She loves you
1964 06 2/12 Can't Buy Me Love / If You Love Me.Baby
1965 03 0/06
1966 02 0/04
1967 03 1/06 All You Need is Love
1968 02 0/04
1969 03 0/06
1970 01 0/02
Total 26 6/52

1961-65 5/30
1966-70 1/22

 UKでリリースされたシングル26枚(52曲)のうち、LOVE が含まれていたのは6曲(A面4、B面2)。そのうち"Love Me Do/P.S.I Love You"は同じシングルのAB面なので、シングルとしては5枚。うちA面曲が3枚、B面曲が1枚、AB面が1枚ということになります。これは意外と少ないように感じます。シングル曲全体としては、6/52=11.5%です。(シングル1枚単位とみた場合、5/26=19.2%)

 また時期によるLOVE出現状況ですが、64年を最後にほとんど登場しなくなります。67年の1曲は「みんなが LOVE を必要としている」であって、LOVEが登場しない状況を現しているかのようです。


 では、アルバム篇。

アルバム名、リリース年、LOVE曲数/全曲数
Please Please Me 1963 2/14 Love me do/P.S.I Love You
With The Beatles 1963 1/14 All My Loving
A Hard Day's Night 1964 2/13 And I Love Her/Can't Buy Me Love
Beatles for Sale 1964 1/14 Words of Love (Buddy Holly)
Help! 1965 1/14 It's Only Love
Rubber Soul 1965 0/14
Revolver 1966 1/14 Love You To
Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band 1967 1/13 Lovely Rita
The Beatles 1968 0/30
Yellow Submarine 1969 0/5
Abbey Road 1969 0/17
Let it Be 1970 0/12

Long Tall Sally EP 1964 0/4
Magical Mystery Tour EP 1967 1/11 All You Need is Love



LOVE in THE Beatles (original Albums) UK

1963 02 3/28
1964 03 3/31
1965 02 1/28
1966 01 1/14
1967 02 2/24
1968 01 0/30
1969 02 0/22
1970 01 0/12
Total 14 10/189

1963-66 8/101
1967-70 2/88

1963-1965 7/87
1966-1970 3/102


 UKでリリースされたアルバム(EPを含む)14枚189曲のうち、LOVEが登場した曲は10曲。約5.3%とシングルより更に低い値になっています。(またシングル6曲のうちアルバム4曲が重複)

 発表年でみると、やはり63、64年がピークで、65年以降は低下していきます。

 ここで65年以降の4曲をみてみると、67年の "Lovely Rita" は、LOVEこそ含まれますが厳密には「ラブリー」なので「愛」ではありません。またもう1曲は、シングルと同じ「みんなが LOVE を必要としている」です。また、66年の "Love You To" は、ポールやジョンの曲ではなく後期に台頭始めるジョージの曲。つまり初期にあれだけLOVEを歌った(イメージのある)ポールとジョンの曲としては、65年の "It's Only Love"が最後となります。

 ここで結論ですが、63、64年に LOVE のピークを迎えた彼らは、65年から急速にその LOVE を失っていった、ということが考えられます。いや、これはあくまでLOVEという言葉への愛であり、歌詞の延長上としての曲名にすぎないのですが、その後の彼らの経緯を考えると、彼らが自分たちバンドへの LOVE を見失っていった時期に呼応するような気がしてしまうのでした。

 (2012年9月4日)



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