アトランティックR&B名盤リイシューカタログ紹介 Vol.10
この秋、ワーナーからアトランティックR&Bの名盤カタログ１００タイトル（そのうち国内初CD化が５６タイトル）が全作最新リマスタリング、解説・歌詞付き千円の完全限定盤でリリース。１０月３日、１１月７日に各５０タイトルずつ発売。私は全タイトル予約注文してしまいましたので、全作品を１０枚ずつ内容を紹介してきました。いよいよ最終回です。この仕様でこの低価格は、二度と入手できない可能性が大きいので、気になるタイトルがあればぜひチェックしてみて下さい。（アルバムイメージをクリックすると今ならアマゾンで最大150ポイント付きで購入できます）
今回は第１０弾の１０枚をお届けします。１１月７日発売分はここまで。これで１００枚すべての紹介が終了になります。
（９１）スピナーズ／ラヴ・トリッピン
伝統を背負い、確かな実力で時代の荒波を乗りこなしたヴォーカル・グループ、スピナーズのモダン・ソウル傑作
ソロ・アルバムも発表している実力者、ジョン・エドワーズをリード・シンガーに据え、王道ソウル・ヴォーカル・グループの世界を堂々と聴かせる快作。サム・クックの名曲をメドレーに組み込み、R＆Bチャート5位となった〈キューピッド／アイヴ・ラヴド・ユア・フォー・ア・ロング・タイム〉、引き締ったモダン・ソウル・ダンサーのタイトル曲、力強いバラード〈ナウ・ザット・ユーア・マイン・アゲイン〉など、佳曲が並ぶ。
【1980年作品】【2012年デジタル・リマスタリング】完全生産限定
（９２）ウィルソン・ピケット／アイム・イン・ラヴ
アメリカン・スタジオへと移り、ボビー・ウーマックが全面参加して作られたサザン・ソウル名盤
メンフィスのアメリカン・スタジオに乗り込み、またしても名盤を生み出したピケット。よき理解者であるボビー・ウーマックが作った、最も美しいサザン・ソウル・バラードに数えられるタイトル曲は、R＆Bチャート4位の大ヒットとなった。サム・クック、ボビー・ブランドらのカヴァーも全てピケットの色に染め上げ、スピード感満点に仕上げたロジャー・コリンズの〈シーズ・ルッキング・グッド〉はチャート7位を記録している。
【1968年作品】【2012年デジタル・リマスタリング】完全生産限定
（９３）ウィルソン・ピケット／イン・フィラデルフィア
ピケットの新しい顔が見える！ 新たなヒット生産工場、フィラデルフィアへと乗り込み生まれた意欲的傑作
暴れん坊シンガーとフィリー・サウンドの相性はいかに？ アメリカ南部を離れ、当時、次々とヒット曲を生み出していたフィラデルフィアのシグマ・スタジオで制作された本作は、意欲が大きな成果となった傑作だ。サイケ・ロック調のギターが絡む〈エンジン・ナンバー・9〉、軽快なミディアム・シャッフル〈ドント・レット・ザ・グリーン・グラス・フール・ユー〉はともに大ヒット。持ち味を変えず、時代の音に乗るピケットに脱帽。
【1970年作品】【日本初CD化】【2012年デジタル・リマスタリング】完全生産限定
（９４）タミー・リン／ラヴ・イズ・ヒア
英国ノーザン・ソウル・シーンで人気の楽曲を収録した、ニューオーリンズ出身の女性シンガーのデビュー・アルバム
ローリング・ストーンズのアルバムにバックコーラスで参加した経験もある、ニューオーリンズ出身の女性シンガー、タミ・リンがコティリオンに残したデビュー・アルバム。モノローグから歌へと入る凝った演出でスロー・ナンバーを多く聴かせる前半に対し、後半は、英国のクラブ文化「ノーザン・ソウル」で人気の〈アイム・ゴナ・ラン・アウェイ・フロム・ユー〉など、アップ・テンポの曲が多く登場し、異なる魅力を楽しめる。
【1972年作品】【日本初CD化】【2012年デジタル・リマスタリング】完全生産限定
（９５）ブラインド・ウィリー・マクテル／アトランタ・トウェルヴ・ストリング
12弦ギターを巧みに弾きながら歌う、1920？30年代に大量の録音を残した人気ブルースマン、晩年の傑作。
名門アトランティックには珍しい、アコースティック・ギター弾き語りによるカントリー・ブルース／スピリチュアル・アルバム。少し鼻にかかった哀愁あふれる歌声と超絶技巧のギターで名を馳せた盲目のウィリー・マクテルは、ボブ・ディランが彼の名をタイトルにした曲を書くほど入れあげるなど、後世のミュージシャンに大きな影響を与えた。本作はアトランティック創設者のアーメット・アーティガンが自らプロデュースしている。
【1972年作品】【日本初CD化】【2012年デジタル・リマスタリング】完全生産限定
（９６）フィリップ・ウィン／スターティング・オール・オーヴァー
テンダーな歌声が魅力のスピナーズのリード・シンガーが、グループを脱退し発表した初ソロ・アルバム
スピナーズの黄金時代となる1971？77年にリード・シンガーを務めたフィリップ・ウィンの初ソロ・アルバム。ニューヨークとフィラデルフィアで制作された本作は、R＆Bチャート17位のヒットとなった〈ハッツ・オフ・トゥ・ママ〉、テンダーな歌声が見事にはまったスローの〈テイク・ミー・アズ・アイ・アム〉など、フィリップの持ち味がしっかりと生かされ、ソロ・シンガーとしての力強い一歩を踏み出した秀作に仕上がった。
【1977年作品】【日本初CD化】【2012年デジタル・リマスタリング】完全生産限定
（９７）フレディ・キング／マイ・フィーリング・フォー・ザ・ブルース
ニューヨークの最先端ソウル＆ファンク・サウンドでブルース・スタンダードを燃え上がらせたモダン・ブルース傑作
前作『フレディ・キング・イズ・ア・ブルース・マスター』と同じく、キング・カーティスがプロデュース、さらに新進気鋭のダニー・ハサウェイがアレンジに加わり、サイド・ギターには名手コーネル・デュプリーと、モダン・ブルース史上最強布陣で制作された傑作。当時最先端のニューヨーク・ソウル＆ファンク・サウンドをバックに、焼けるようなギターと絞り出すヴォーカルで、ブルースの古典と自身の代表作に新たな命を吹込む。
【1970年作品】【2012年デジタル・リマスタリング】完全生産限定
（９８）エスター・フィリップス／バーニング〜ライヴ・アット・フレディ・ジェッツ・パイド・ピアーL．A．
15才でR＆Bチャート1位のヒット曲を飛ばした天才女性シンガーの成熟したブルース＆ジャズ・ライヴ名盤
R＆Bのゴッドファーザー、ジョニー・オーティスに見出され、10代から活躍するシンガー、エスター・フィリップス。本作は、1962年にR＆Bチャート1位になった〈リリース・ミー〉、ビートルズの〈アンド・アイ・ラヴ・ヒム〉などのヒット曲を交えながら、ジャズやブルースの名曲を歌い上げる傑作ライヴ盤だ。プロデューサー兼サックスで参加したキング・カーティス、ギターのコーネル・デュプリーら、名手たちの演奏にも注目。
【1970年作品】【日本初CD化】【2012年デジタル・リマスタリング】完全生産限定
（９９）V.A.／アポロ・ザタデイ・ナイト〜ライヴ・アット・アポロ・シアター
黒人音楽の殿堂として有名なニューヨークのアポロ・シアターで行なわれた、R＆Bスター出演のライヴ実況盤
「土曜の夜のアポロ」シアターに続々と登場するR＆Bのスターたち。耳の肥えた聴衆は、デビューしたばかりのオーティス・レディングを品定めするように聞き入り、コミカルなコースターズが登場すると笑い声が絶えない。割れんばかりの歓声で迎えられるスター、ベン・E・キング！ 全力のパフォーマンスをみせ、聴衆もまたそれに応える。アメリカ黒人音楽を育ててきた現場を克明にとらえた、歴史的にも重要なライヴ実況盤だ。
【1964年作品】【日本初CD化】【2012年デジタル・リマスタリング】完全生産限定
（１００）V.A.／サタデイ・ナイト・アット・ジ・アップタウン
女性客の熱狂ぶりがすごい！ フィラデルフィアのアップタウン・シアターでのR＆Bレヴュー実況盤
これが現場の熱気！ 黒人音楽の重要拠点であるフィラデルフィアのアップタウン・シアターに集まったリズム＆ブルースのスターたちと、熱狂的な聴衆の姿が刻まれた貴重なライヴ実況盤だ。ドリフターズ、ヴァイブレーションズ、ウィルソン・ピケットらのヒット曲が始まると、黄色い歓声を飛ばし、一緒に歌いだす女性客たち。「今夜は楽しむわよ！」そんな声が聞こえてきそうな観客の盛り上がりにパフォーマンスも熱く応えるのだ。
【1964年作品】【日本初CD化】【2012年デジタル・リマスタリング】完全生産限定
（２０１２年１１月８日）
