あたまのなか研究室

ピクルス(2代目)とぶらいあん(初代)の研究室です。

第15回大阪アジアン映画祭ピクルス的まとめ

 

 今年の大阪アジアン映画祭についてツイートしたものをまとめました。

 (3/7-3/16)

 

 『夕霧花園(原題)』(2019年、マレーシア、大阪アジアン映画祭)マレーシア出身作家の英文小説の映画化。マレーシアの終戦直後に女性が出会ったミステリアスな日本人庭師との残照を30年後と並行して描いた、美しい山奥の自然と残酷な記憶が交錯する秀作。

 

『サンシャイン・ファミリー』(2019年、フィリピン=韓国、大阪アジアン映画祭)日本映画(未見)のリメイクで、全篇韓国ロケのフィリピン映画。オリジナルとはキャラクター設定などは違うようだが、次々に迫り来る困難で笑わせる、家族愛を描いた爆笑作。

 

『メイド・イン・バングラデシュ』(2019年、仏=バングラデシュデンマークポルトガルダッカの縫製工場で働く女性は火事の危険や低賃金に不満を抱えていた。夫が無職のシムは助言を受けて組合を作ろうとする。様々な困難に立ち向かう秀作。

『メイド・イン・バングラデシュ』(2019年、仏=バングラデシュデンマークポルトガルバングラデシュの首都ダッカでも貧困や格差が大きく女性は男性にコントロールされる存在であることが浮き彫りにされるが、それを突き破ろうとする主人公の姿に強く共感する。

『メイド・イン・バングラデシュ』(2019年、仏=バングラデシュデンマークポルトガル)ところで本作は神戸女学院大学文学部英文学科協賛上映ですが、字幕担当者チーム、数えてみたら29人!ここでも女性が頑張っている(大阪アジアン映画祭字幕は女性ばかり)!

 

『大いなる飢え』(2019年、台湾、大阪アジアン映画祭)30歳で100kg超えの彼女は宅配便の配達員に惹かれていきダイエットに力を入れるが・・。主人公の魅力、配達員の過去と現在、「そのままでいいよ」と諭される幼稚園児。コミカルで爽やかな良作。

 

コントラ』(2019年、日本、大阪アジアン映画祭)祖父の戦争の記憶(記録)とそれが呼び起こしたような不思議な後ろ歩きホームレス、それに女子高生の孫娘の田舎町のストレスがシンクロして思わぬ方向へ行く。奇妙な笑いとラストのカタルシス

 

『愛について書く』(2019年、フィリピン、大阪アジアン映画祭)恋愛経験のない女性が恋愛映画の脚本を作るため男性脚本家と二人で書き始める。現実(スタンダード)と劇中(ビスタ)が交互に描かれ終盤融合する(シネスコ)ラブコメonラブコメ

 

『蒲田前奏曲』(2020年、日本、大阪アジアン映画祭)蒲田を舞台に売れない女優マチ子に関する4つのエピソードを描いたオムニバス長篇。1はドキュメンタリーすれすれの面白さ。2は女子会で色々むき出しになる気まずい笑い。

『蒲田前奏曲』(2020年、日本、大阪アジアン映画祭)エピソード3は、期待の安川監督で、女優が監督に「」自爆させる話で鋭くも面白い。問題の4は異色(モノクロだからだけじゃなく)で単調に見えながらもシニカルな笑い。これ全部面白い!

 

 他に、特に優れていると思った作品を挙げておきます。

 

 #デレク・ツァン『少年の君』(中国=香港)

 #ナワポン・タムロンラタナリット『ハッピー・オールド・イヤー』(タイ)

 #パク・ソンジュ『家に帰る道』(韓国)

 #キム・チョヒ『チャンシルは福も多いね』(韓国)

 #ノリス・ウォン『私のプリンス・エドワード』(香港)

 #チャン・チッマン『散った後』(香港)

 #リウ・クァンフイ『君の心に刻んだ名前』(台湾)

 #ホセ・エンリーケ・ティグラオ『メタモルフォシス』(フィリピン)

 

 今年はコロナ騒動でゲスト登壇Q&Aやサイン会がありませんでしたが、上映が最後まで無事上映されただけも素晴らしい映画祭でした。

 来年は、いつも通りの映画祭になるように祈っています。

 

 (2020年3月31日)